戸籍をとるのは大変?~出生から死亡まで~
出生から死亡までの戸籍をとるのって、すごく面倒…
相続が発生したとき、様々な手続きが必要になることは皆様ご存じでしょう。
思いつくだけでも、不動産に関するもの、預貯金に関するものがあり、それぞれ、登記の変更や名義変更、解約など煩雑な手続きが必要になります。そして、これらの手続きをするにあたり、必ず と言ってよいほど必要になるのが、被相続人が出生してから死亡するまでの戸籍です。
「戸籍なんて簡単にとれるのでは?」と思われるかもしれません。もちろん、被相続人の戸籍の変動が少ない場合は、簡単に取得できることもあり得ます。しかし、出生した際の戸籍は、結婚や死亡で少なくとも3回は変更が起きるタイミングがあります。さらに、養子縁組がなされている場合や、本籍地の変更がされている場合には、より多くの戸籍が必要になります。
相続に伴って上記のような手続きを行う際には、被相続人だけではなく、相続人の戸籍も必要となりますので、相続人が多い場合などは、戸籍の取得費用だけで、一万円を超える費用がかかってしまうこともあります。
また、戸籍を取得するためには、本籍地の役所(市役所・区役所・役場・・)に直接行って申請・取得するか、郵送で申し込まなくてはいけません。戸籍をただ取り寄せたいただけなのに、手続きの都度、手間と費用が掛かってしまいます。さらに、被相続人が亡くなった際の本籍地が移されていたもので、以前の本籍地が遠方だった場合、元の本籍地に請求をしなくてはいけませんので、これらの書類をそろえるだけでも手間がかかってしまいます。
そんなときにもってこいの、便利な制度があります!
こうした手間・手続きを緩和しようと、平成29年に始まったのが「法定相続情報証明制度」です。この制度を利用すれば、今までの相続手続きにかかっていた手間や金銭的負担が軽減できるので、簡単に説明します。
これは、相続人が一度、戸籍謄本等の必要書類を集め、戸籍と相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図と言います)を法務局に提出します。法務局の登記官が、その書類を確認したうえで、その一覧図に認証を行い、偽造防止措置の施された専用の用紙で認証文付きの「法定相続情報一覧図の写し」を発行してくれます。
これまで戸籍謄本の束が必要だった手続きが、たった一枚の法定相続情報証明書のみで公的に被相続人の法定相続人が誰か分かるようになるというものです。法定相続情報証明制度は、証明書の発行手数料が無料であり、五年間であれば何度でも再発行が可能ですので、多様な手続きで、何度も戸籍請求を行わなければならない際もスムーズに事を進めることができます。もちろん、一覧図の写しを入手したからといって、絶対に使わないといけないという訳ではありません。従来どおり戸籍を一つ一つ集めて、手続きをすることも可能です。
この制度により、法務局や大手金融機関等での相続手続きを同時に進行することができるため、費用だけではなく時間の短縮にもなります。相続に伴う手続きが格段に効率化され、相続登記が促進されることになるでしょう。