生前の財産管理に不安がある方、任せたい方
財産管理の備えの必要性
生前の財産管理というとピンとこない方もおられるかもしれません。
生きているのであれば、自分で財産を把握できるから大丈夫、そう思っていらっしゃいませんが、残念ながら、人は必ず歳を取ります。段々と自分自身のことを自分で管理していくことも辛くなったり、負担になってきたりします。そして、様々なことの中で、特に注意すべきものが「認知症対策」です。
日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究によると、2020年の65歳以上の高齢者の認知症有病率は16.7%と、6人に1人程度です。この記事をご覧になっている皆様も、認知症になる可能性がないとは言えません。
そして、認知症になってしまった場合、自分の財産の管理や相続について正しく判断できなくなってしまいます。
「成年後見制度」があるから大丈夫?
判断能力を失ってしまった方の一般的な財産管理方法として、法定の成年後見制度を利用する方法があります。
しかし、成年後見制度の利用のためには、裁判所に申立てをして、後見人を専任してもらう必要がありますので、適切な時期に申立てがされないと、財産管理がなされないまま消費者被害にあったりする危険があります。
また、後見人を誰にするかについては、裁判所が判断しますので、慎重に管理すべきと判断されれば、仮に、本人や親族が希望していたとしても、後見人は親族ではなく、専門家が選ばれる可能性があります。専門家が後見人に選ばれた場合は、後見人の報酬が発生します。
また、実際の財産管理においては、後見人は、本人以外のために財産を自由に動かすことはできません。財産をいたずらに減らしかねないようなこともできませんから、ある程度まとまった財産があったとしても、その資産を運用することは当然できません。
高齢者施設の入居費用を捻出するために自宅不動産を売却する必要があるといった場合、裁判所の許可が必要になるなど、迅速にすすめるということは難しい場合もあります。成年後見制度の場合、ご本人の希望していたとおりに柔軟に財産を管理・支出するということができなくなるケースがあります。
このような場合、信頼できる親族や専門機関に財産を預け、管理を任せる制度として、家族信託が注目されています。
家族信託のメリット
家族信託の場合、契約を結んだその時から管理を任せることができます。
認知症になる前、自分の判断能力がまだ確かなときに、財産管理をしてもらえるほか、認知症になった後もそのまま継続して管理ができます。
判断能力がまだあるうちから財産管理を任せる方法としては、財産管理行為についての委任契約を締結することでも実現できますが、委任契約では、判断能力を失ったあとのことまでは任せることができず、別途後見制度の利用が必要になります。判断能力を失う前後の財産をまとめて任せることができることにこの方法の利点があります。
その他、財産を預かる人(受託者といいます)の指定およびその権限の範囲、信託を終了するタイミング、受託者報酬の有無などを、細かく決めることもできます。
加えて、財産管理の方法だけでなく、財産を最終的に誰に承継させるのかについても、遺言のように定めることができます。
皆さんが健康で、まだ判断能力があるうちに、自分の財産を誰に管理してもらい、どのように使ってもらうか、そして、承継するか。認知症になってしまった後の自らを守るために、家族信託を検討してみてはいかがでしょうか。
家族信託のメリットについては、別記事にて詳細を説明しております。
・家族信託のメリット①凍結防止効果
・家族信託のメリット②意志尊重効果
近くに頼れる人がいない場合
なお、身近に身の回りの世話をしてくれたり、財産を引き継がせたい親族などがそもそもいない、いわゆる「おひとりさま」の方もいらっしゃると思いますが、そのような方は、元気なうちから、財産や身の回りのことについて、誰に相談して、任せておくのか、最終的に財産をどのように処分してもらうか、死んだ後の手続きなどの後始末をどうしてもらうのかといったことを決めておく必要があるでしょう。
誰も相談できる人がいないような場合には、例えば、自分の状況を定期的に確認してもらいながら、今後どのような対策をとっていくかを相談できるように、専門家である弁護士と契約をする(「見守り契約」といいます)ことをまずは考えたほうが良いと思われます。
財産の多寡にかかわらず、認知症で正しい判断ができないとき、あらかじめ生前の財産管理を決めておかないと、皆様を取り巻く様々な人たちがトラブルになるリスクがあります。
当事務所では、家族信託も含む、生前対策に関するご相談を承っております。どうかお気軽にお問合せ下さい。
迷ったら専門家にご相談を
このように、相続財産について迷われることも多々あると思いますので、専門家にぜひご相談ください。
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所は2009年創業。当事務所では民事事件を主に取り扱っており、相続に関するご相談には経験豊富な弁護士2名体制でお客様をサポート致します。不動産が絡む相続問題に強みがあり、ご相談だけでなく売却等のお手伝いもしているのが特徴です。
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