相続財産に不動産が含まれている場合、遺産分割は預貯金中心のケースに比べて検討事項が増える傾向があります。実家や収益物件など「生活」や「思い入れ」と結びつきやすいことに加え、現金のように単純に等分しにくいためです。結果として、相続人間での話し合いが長引き、精神的負担が大きくなることもあります。
本記事では、不動産がある遺産分割について、一般的な進め方と注意点を整理します(個別事案の結論を断定するものではありません)。
遺産分割とは(不動産があると難しくなる理由)
遺産分割とは、相続人全員が参加して、遺産を具体的にどのように分けるかを決めることです。遺言書がある場合でも、遺言で全てが決まっていないときには遺産分割が必要になる場面があります。
不動産があると難しくなりやすい主な理由は次のとおりです。
- 分け方の選択肢が複数ある(取得・代償・売却・共有など)
- 評価(いくらとみるか)で結論が変わる
- 居住者がいる、賃貸中、借地借家など権利関係が複雑
- ローン・抵当権(担保)が残っていることがある
- 感情面の対立が生じやすい(実家、先祖代々の土地など)
「法律の話」と「現実にできるか(資金・住まい・売却可能性)」がセットになるのが、不動産相続の特徴です。
最初に確認したい事項(相続人・遺産・遺言)
遺産分割は、最初の整理でつまずくと、その後の協議が進みにくくなります。まずは次の3点を押さえることが重要です。
(1) 相続人の確定
戸籍等により、相続人を確定します。相続人に漏れがあると、後になって協議をやり直す必要が出る場合があります。
(2) 遺産(プラス・マイナス)の把握
不動産のほか、預貯金、有価証券、保険、事業用資産、負債(ローン等)を含めて整理します。不動産については、登記名義、所在地、地番、持分、抵当権の有無などを確認します。
(3) 遺言書の有無
遺言がある場合、遺産分割の前提が変わることがあります。遺留分の問題が絡むかどうかも含め、入口で確認します。
遺産分割協議の進め方
不動産を含む遺産分割協議は、一般的に次の流れで進みます。
ステップ1:資料収集・事実関係の整理
不動産の登記事項証明書、固定資産税関係資料、賃貸借契約書、ローン資料など、判断に必要な材料を揃えます。
ステップ2:不動産評価(目線合わせ)
代償分割や遺留分が絡むと、評価が争点になりがちです。固定資産税評価額、路線価、実勢価格(時価)など複数の考え方があり、目的に応じて資料を整えます。必要に応じて、不動産業者の査定や不動産鑑定士の鑑定を検討することもあります。
ステップ3:分割案を複数検討する(選択肢の比較)
最初から1案に絞るより、現物・代償・換価・共有といった複数案を並べて、メリット・注意点を比較するほうが問題解決の落とし所を見つけやすい場合があります。
ステップ4:合意(遺産分割協議書の作成)
合意に至ったら、内容を協議書に落とし込みます。不動産は特に記載の精度が重要です。
ステップ5:実行(相続登記、売却、代償金の支払等)
合意は「実行して初めて完了」します。売却や代償金の支払時期、明渡し条件など、実行面の条件を決めておくことが大切です。
必要書類の例(揃っていなくても相談は可能です)
- 被相続人の戸籍(出生~死亡)
- 相続人の戸籍・住民票
- 遺言書(ある場合)
- 不動産:登記事項証明書、固定資産税納税通知書、評価証明書
- 賃貸中:賃貸借契約書、賃料入金状況
- ローン:金銭消費貸借契約、返済予定表、残高証明、団信資料 など
不動産の分け方(概要)
現物分割:不動産を特定の相続人が取得する
代償分割:取得者が他の相続人へ金銭(代償金)を支払う
換価分割:売却して売却代金を分配する
共有分割:共有名義にする(将来の意思決定が課題になり得ます)
どれが適切かについては、居住状況・資金・他の遺産の有無・相続人関係などで変わってきます。
関連記事:不動産を遺産分割する4つの方法|現物・代償・換価・共有のメリット・注意点
関連記事:相続不動産の評価方法|路線価・固定資産税評価額・実勢価格(時価)と鑑定の使い分け
関連記事:相続不動産に相続人が住んでいる場合|使用の扱い・費用負担・明渡しのポイント
協議がまとまらない場合(調停等)
話し合いが進まないときは、家庭裁判所の遺産分割調停を検討することがあります。調停は「勝ち負け」を決める場というより、第三者を交えて条件整理を進める手続です。
不動産がある場合は、評価資料、売却条件、居住者の扱い、税金・費用負担など、論点が多岐にわたるため、準備が重要になります。
関連記事:遺産分割調停の流れ|不動産がある場合の進み方・準備・注意点
弁護士に相談するメリット

- 争点の整理(何が決まっていないか、何から決めるべきか)
- 交渉窓口の一本化による精神的負担の軽減
- 不動産業者・不動産鑑定士等との連携を含めた実務的対応
- 協議・調停の局面で、主張整理と条件調整を行い、長期化を避ける工夫を検討
よくあるご質問
1.兄弟が話し合いに応じません。
A. 弁護士を窓口にして協議を試みる方法や、調停など裁判所の手続をとる方法があります。まずは現状整理が重要です。
2.共有にしておけば安心ですか?
A. 一時的に合意しやすい反面、将来の売却・修繕等で意思決定が難しくなる場合があります。共有にするかどうかについては慎重な判断が重要です。
弁護士へのご相談(初回無料相談)

不動産がある遺産分割は、早めに論点を整理することで選択肢が広がることがあります。
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所(東京駅徒歩5分)では、相続に注力する弁護士がチームで対応し、交渉による早期解決を重視しています。初回相談は60分まで無料です。
- 電話(受付:平日9:00~20:00):03-5224-3801
- お問い合わせフォームはこちら
- 弁護士費用:https://souzoku-soleil.jp/lawyer-fee
おすすめ関連記事
相続不動産の評価方法|路線価・固定資産税評価額・実勢価格(時価)と鑑定の使い分け
ローンが残る不動産の相続|抵当権の注意点と進め方(相続放棄の検討含む)
相続不動産に相続人が住んでいる場合|使用の扱い・費用負担・明渡しのポイント
相続不動産を売却する前に|税金(譲渡所得)の基礎と注意点、専門家に相談すべき場面



