要点
- 遺言無効の立証では、まず「争点(方式/意思能力/不当介入/真正)」を切り分けると、必要な証拠が明確になりやすいです。
- 証拠は単発で何かが決まるわけではなく、事実経過や他の主張・証拠と組み合わせて評価されることが多いです。
- 遺言作成日を中心に、医療・介護・作成経緯・連絡状況などを整理するのが基本です。
立証の前提:まず争点を絞る
遺言無効の検討で「証拠を集めたい」と思っても、やみくもに集めても意味がありません。
一般論としては、次のように争点を切り分けてから、関係する必要資料の優先順位を決めて証拠を探します。
- 方式(自筆証書遺言の方式要件など)
- 意思能力(認知症等)
- 詐欺・強迫/不当介入(騙された、囲い込み等)
- 真正(偽造・変造、筆跡・日付・押印)
証拠チェックリスト
A. 遺言書そのもの・周辺事情
- 原本、封筒、保管場所
- 発見経緯(誰が、いつ、どう見つけたか)
- 訂正の跡、加筆の疑い
- 過去の遺言の有無(比較材料)
B. 医療関係(意思能力)
- 診療録(遺言日を中心に前後期間)
- 認知機能検査・所見(実施されていれば)
- 服薬状況、入退院・急変イベント
C. 介護(生活実態)
- 介護認定資料、ケアプラン
- サービス提供記録、施設記録
- 金銭管理・服薬管理の実態が分かる記録
D. 遺言の作成経緯
- 作成を提案した人/連絡した人
- 同席者・同行者
- 下書き・案文の作成者
- 専門家とのやり取りの経緯
E. 連絡状況・情報遮断(不当介入)
- 面会制限の有無(施設記録等)
- 電話・メール等の履歴(入手できる範囲)
- 連絡先の管理状況
時系列表による整理
証拠は、いつの・何の話に関するものか、といったことの関連づけが重要になりますので、先に時系列表を作ると整理が進みやすいといえます。
| 日付 | 出来事 | 関係者 | 裏付け資料 |
| 〇月〇日 | 受診 | 本人・医師 | 診療録 |
| 〇月〇日 | 介護開始 | 本人・家族 | 介護記録 |
| 〇月〇日 | 遺言作成 | 本人・同席者 | 遺言原本 等 |
よくある質問(FAQ)
Q. 遺言無効の立証では、何が一番重要ですか?
まず争点(方式/意思能力/不当介入/真正)を特定することが重要です。
争点が決まると、必要資料の優先順位も決まりやすくなります。
Q. 医療記録と介護記録はどちらが重要ですか?
どちらか一方ではなく、組み合わせが有益なことが多いです。
遺言の作成時点の具体的状況を補完し合う資料としてどちらも重要です。
Q. 原本が手元にないと不利ですか?
方式や筆跡が争点の場合、原本が重要になりやすいです。
まず所在・保管経緯の確認から始めることが多いです。
Q. 家族の証言(陳述書)だけで足りますか?
単独では足りないこともあり得ます。
診療録・介護記録など客観資料と組み合わせて検討するのが一般的です。
Q. 証拠はいつの時点のものが重要ですか?
原則は遺言の作成日を中心とした前後の期間です。
認知症等による遺言能力(意思能力)の有無を争う場面では特に遺言作成に近い時期の状況を示す証拠が重視されやすい傾向があります。
Q. どの順番で集めるのがよいですか?
①遺言書・関係者の把握→②時系列表→③医療・介護の記録→④作成経緯といった順が整理しやすいです。
ただし優先順位は争点により変わり得ます。
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