要点
- 「騙された」「脅された」疑いは、詐欺・強迫(民法第96条第1項)の観点で整理されることがあります。
- 実務では言動だけでなく、同席・主導、面会制限、依存関係など周辺事情が重要になりやすいです。
- 立証は容易とは限らないため、早めに争点と証拠方針を整理することが有益です。
「騙された」疑いがあるときの出発点
相続の場面では「親が騙されて遺言を書いたのでは」と感じることがあります。
ただ、一般論として、違和感だけで直ちに結論が出るとは限らず、どのような説明や圧力があり、本人の意思形成がどう影響を受けたかを具体的に整理する必要があります。
条文
民法第96条第1項
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
※遺言との関係でどう整理されるかは、事情により異なります。
争点になりやすい典型場面(一般論)
1) 虚偽説明・誤解を誘う説明
財産状況や他の相続人の取り分などについて、事実と異なる説明があった疑いがある場合、検討要素になり得ます。
2) 強い心理的圧力(強迫的状況)
介護・同居・生活上の不利益を示唆して意思決定を迫った疑いがある場合、具体的な状況を整理する必要があります(評価は事案によります)。
3) 囲い込み(環境としての不当介入)
面会・連絡が制限され、外部情報に触れにくい状況で遺言の作成が進んだ疑いがある場合、周辺事情の積み上げができるか検討します。
立証で見られやすい事項(一般論)
- 誰が遺言作成を段取りしたか(連絡者・同行者)
- 面会制限や連絡遮断の有無(施設記録・履歴等)
- 介護・金銭の依存関係(管理状況)
- 認知症等が絡む場合は、意思能力資料との組合せ
よくある質問(FAQ)
Q. 親が「言いくるめられた」だけでも争えますか?
直ちに結論は出ず、説明内容や環境、依存関係などを具体的に整理する必要があります。
どの枠組みで主張するかも、事情により変わり得ます。
Q. 録音やメールがなくても立証できますか?
可能性はあるかもしれませんが、容易とは限りません。
同席・主導の程度、面会制限など周辺事情の積み上げも含め検討することになります。
Q. 面会を制限されていた場合は重要ですか?
情報遮断・囲い込みといった事情が遺言作成に影響を与えたことの間接的な事情になり得ます。
いつから、どの程度、誰の意向で制限されたかといったことを時系列で整理することが有益と考えられます。
Q. 強迫(脅し)があったことはどう示しますか?
発言内容だけでなく、状況(同居・介護・金銭)や第三者の認識なども含めて検討します。
間接証拠の積み上げになることも多いです。
Q. 認知症も重なっている場合はどうなりますか?
争点が複合しやすく、意思能力と作成経緯をセットで整理することが有益です。
必要資料の優先順位も変わり得ます。
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