要点
- 遺留分の算定には基礎財産の把握(民法第1043条、第1046条)が重要で、財産の全体像が見えないと交渉が進みにくくなります。
- まずは手元資料から「存在することが分かっている財産/存否が分からない財産」を区別し、相手がへの適切な連絡方法を検討するのが現実的です。
- 遺留分侵害額請求の期限(民法第1048条)の問題がある場合、情報収集と並行して意思表示の記録化を検討することがあります。
はじめに:財産の全体像が見えないままでは「公平な話し合い」が難しい
「預金がいくらあるか教えてくれない」「不動産の資料が出てこない」
遺留分の相談で多いのが、“遺留分算定のもととなる基礎財産の全体像が見えない”状態です。
遺留分侵害額請求は、侵害額に応じた金銭の支払いを求めるものです(民法第1046条)。その前提として基礎財産の整理・把握が必要になるため(民法第1043条、第1044条)、財産情報が不足していると遺留分の算定も交渉も進みにくくなります。
なぜ財産の全体像が見えないと遺留分の算定が難しいのか
- 算定の基礎となる財産の評価が進まない、生前贈与の実態が把握できない等により、請求額(遺留分侵害額)算定の見通しが立たない(民法第1046条)
- 相手方と「前提」が揃わず、議論が噛み合わない
結果として、話し合いが感情論になりやすく、協議が進まなくなるリスクがあります。
まずやること:手元資料で“暫定リスト”を作る
相手が開示しない場合でも、最初から諦める必要はありません。まずは次のように整理します。
存在が分かっている財産のリスト
- 自宅不動産、賃貸物件(住所が分かれば登記情報取得の手掛かりになることがあります)
- 預貯金(通帳や郵便物から推測できるもの)
- 保険(保険会社からの郵便物等から推測できるもの)
- 株式、債権、投資信託等(証券会社の郵便物等から推測できるもの)
存否が分からない財産(確認が必要なもの)のリスト
- 預貯金
- 株式、債権、投資信託等
- 被相続人からの生前贈与
- 被相続人名義の負債(借入)
「分からないもの」を列挙することで、次に必要な資料が見えやすくなります。
連絡・交渉の進め方(対立を深めない工夫)
①まずは“開示の目的”を揃える
財産開示の依頼は、「疑わしいから出せ」ではなく、
遺留分の整理に必要な範囲で確認したい
という形にすると、対立を避けやすいことがあります(遺留分算定の前提:民法第1043条、第1044条、遺留分侵害額の請求:民法第1046条)。
②協議の窓口を一本化するメリット
相続人同士で直接やり取りすると、感情的な行き違いが重なり、協議が難しくなる場合があります。弁護士が窓口となることで、必要事項を無駄なく整理した冷静なやり取りが可能になることがあります。
それでも話し合いにならないとき
相手から遺留分の整理に必要な財産開示が得られず協議が進まない場合、状況に応じて調停等の手続の利用を検討します。
どの手段が適切かは、期限や争点、資料状況で変わります(遺留分侵害額請求の期間制限:民法第1048条)。
- 関連:遺留分の調停・訴訟の流れ(クラスター8予定)
期間制限との関係:情報収集と同時に「起算点」の整理を
財産開示を待つ間にも、遺留分侵害額請求の期間制限が問題になる可能性があります(民法第1048条)。
そのため、並行して
- いつ遺言を見たか
- いつ遺留分の侵害に気づいたか
- 関係者からどのような説明を受けたかを時系列で整理し、必要に応じて意思表示の記録化(内容証明等)を検討します。
財産が見えない段階からの整理(初回相談無料)

財産開示がされない状況でも、手元資料から整理を進め、必要な開示項目や交渉方針を組み立てることは可能です。特に、遺留分侵害額請求の期限が気になる場合は、早めの整理が重要になります。
当事務所では相続(遺留分を含む)のご相談を初回60分無料でお受けしています。
- 全国対応/来所・オンライン相談可(本人確認等)
- 東京駅徒歩約5分
- 電話受付:平日9:00~20:00(夕方以降可・予約制)
よくある質問(財産開示)
Q. 相手が無視してきます。どうすれば?
状況により、別の連絡方法を用いる、協議の窓口を一本化する、調停手続の利用を検討するなどの選択肢があります。遺留分侵害請求の期限との関係も含めて整理が必要です。
Q. こちらに資料がほとんどありません。
郵便物や過去の取引履歴など、手掛かりは残っていることがあります。まずは「分かること/分からないこと」の棚卸しから始めます。
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