要点
- 遺言が有効でも、一定の相続人は遺留分を主張できる場合があります。
- 遺留分侵害額請求は金銭請求として整理される権利です(民法第1046条第1項)。
- 権利行使の期間制限(時効)が問題になることがあるため、遺言無効の検討と並行して早めに確認することが有益です。
遺留分侵害額請求とは
遺留分は、一定の相続人に保障される「最低限の取り分」と説明されることがあります。
遺言によって特定の人に遺産が偏っている場合でも、要件を満たせば、受遺者等に対し金銭の支払を請求できる制度です。
民法第1046条第1項
遺留分権利者は、受遺者又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
無効主張との関係:並行検討が有益な場面
一般論として、次のような事情がある場合、遺言無効の主張と並行して遺留分を検討することが有益な場合があります。
- 無効の立証が難航する可能性がある
- 争点が複合して見通しが読みづらい
- 早期に金銭での整理を目指したい
どちらを主軸にするかは事情により異なるため、期限も含めて全体設計をすることが重要になり得ます。
期間制限:先に確認したいポイント
遺留分侵害額請求には期間制限があります。
遺留分(遺留分侵害額請求権)の時効は、原則として相続の開始と侵害の事実を知った時から1年です。この期間内に請求しないと権利が消滅します。また、知らなくても相続開始(死亡)から10年が経過すると除斥期間により請求できなくなります(民法第1048条)。
この「侵害の事実を知った時」、すなわち時効の起算点(いつから数えるか)が争点になることもあります。
そのため、遺言無効を主に検討中の場合でも、それと並行して遺留分の権利行使も考えている場合は、遺留分の権利行使の期限が迫っていないかについても意識しておく必要があります
※具体的な期間や起算点は事情により異なるため、個別の確認が必要です。
計算・対象財産で争点になりやすいポイント(概観)
- 遺留分算定の基礎となる財産の範囲
- 不動産・株式等の評価
- 生前贈与の扱い
- 特別受益・寄与分との関係
※詳細は事案により異なります。
よくある質問(FAQ)
Q. 遺言が有効でも遺留分は必ずもらえますか?
「必ず」とは言えず、遺留分がある相続人か等の要件によります。
まず自分が遺留分権利者に当たるかを確認します。
Q. 遺留分侵害額請求は何を請求する制度ですか?
原則として金銭請求として整理されます(民法第1046条第1項)。
金額は遺産の内容や評価等で変わり得ます。
Q. 期間制限はどれくらいですか?
遺留分(遺留分侵害額請求権)の時効は、原則として相続の開始と侵害の事実を知った時から1年です。この期間内に請求しないと権利が消滅します。また、知らなくても相続開始(死亡)から10年が経過すると除斥期間により請求できなくなります(民法第1048条)。
遺留分の請求も合わせて検討する場合は、権利が失効しないように対応する必要があります。
Q. 無効主張と遺留分、どちらを先にすべきですか?
論理的には、前提問題である無効主張を先行します。もっとも、遺留分の権利行使期限や立証の見通し、早期解決の希望なども踏まえて、並行して検討することが有益な場合もあります。
Q. 生前贈与が多い場合、遺留分に影響しますか?
影響し得ますが、対象範囲や評価は争点になりやすいです。
資料を集めて具体的に検討する必要があります。
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遺留分は期間制限や計算関係など検討事項が多く、遺言無効とどちらを主軸にするかは事情により異なります。 無効主張と並行して期限・見通しを整理することで、対応が取りやすくなる場合があります。
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