要点
- 遺言作成への関与があるだけで直ちに無効とは限りませんが、関与の態様によっては重要な検討要素になり得ます。
- 見られやすいのは「主導の程度」「面会・連絡の制限」「金銭管理の集中」「遺言案の作成者」などです。
- まず「誰が、いつ、何をしたか」を時系列で整理し、証拠化できる事項を洗い出すのが基本です。
「関与=違法」とは限らないが、争点化しやすい
相続では、介護や生活支援を担っていた相続人が、遺言作成の段取りを手伝うこともあり得ます。そのため、関与があるという一点だけで直ちに結論が出るわけではありません。
一方で、関与が強く、本人が自由に意思形成できない状況だった疑いがある場合、意思能力や不当介入(詐欺・強迫を含む)等の観点から争点になり得ます(事案により異なります)。
注意したい状況の例(一般論)
1) 面会・連絡の制限(情報遮断)
- 面会が極端に制限される
- 電話や連絡先が管理され、本人と直接話せない
- 施設側が「家族の意向」で面会制限していた、など
2) 遺言案の作成・持ち込み(主導の程度)
- 遺言の案文・メモを第三者が作成
- 本人が内容を説明できない
- 専門職との打合せが特定人主導で進む
3) 金銭管理の集中(依存関係)
- 通帳・印鑑・カードが特定人の管理下
- 生活費や介護費の支払いが不透明
- 本人が自分の財産状況を把握できていない
4) 遺言内容の急変(タイミング)
遺言内容の変化そのものはあり得ますが、介護開始や同居開始、施設入所直後に急な変更がある場合、経緯の確認が重要になります。
実務での整理:まず「時系列」と「関係者の整理」
特定の相続人の関与が疑われる場合、次の2つを先に作成・整理すると状況把握が進みやすいです。
- 時系列表:受診・介護開始・同居開始・遺言作成の流れ
- 関係者の整理:同居者、キーパーソン、財産管理者、同席者
その上で、証拠化できる事項(連絡履歴、施設の面会記録、金銭管理の資料など)を洗い出します。
よくある質問(FAQ)
Q. 兄弟が遺言作成に同席していたら無効ですか?
同席だけで直ちに無効とはなりません。
主導の程度や本人が自由に意思形成できたかが、事情として検討されることがあります。
Q. 「囲い込み」の典型的なサインは?
面会・連絡の制限、情報の遮断、金銭管理の集中、専門家とのやり取りの独占などが挙げられます。
いつからどの程度だったかを時系列で整理することが重要です。
Q. どんな資料が関与の立証に役立ちますか?
連絡履歴、施設の面会記録、金銭管理資料、遺言作成の段取り(連絡・同行者)に関する資料などが考えられます。
入手できる範囲は事情により異なります。
Q. 早期に確認すべきことは何ですか?
遺言作成日、同席者、保管者、作成までの経緯を時系列で確定します。
そのうえで証拠化できる事項の当たりを付けると進めやすくなります。
関連記事
- 「騙された/脅された」疑い(96条)をどう整理するか
- 関与の程度を示す資料・記録の集め方
総合解説: 遺言無効の争点整理(方式・意思能力・介入)を最初から確認
ご相談をご検討の方へ(初回相談60分無料)

特定の相続人の関与が疑われる場面では、「主導の程度」や「本人の意思形成環境」を示す事情の積み上げが重要になりやすいです。 何が争点になり得るかを時系列で整理する段階から、ご相談いただけます。
- 初回相談:無料(60分まで)
- 電話受付:平日9:00~20:00
- 対応エリア:全国(オンライン相談可/本人確認等あり)
- 所在地・アクセス:東京駅徒歩約5分
- 相談時間:夕方以降可(予約制)
遺言トラブル関連記事
遺言無効とは?「無効」・「取消し」・「遺言の解釈」の問題の違い
公正証書遺言でも無効になり得る?争点になりうる事項(意思能力・手続・内容)
特定の相続人が遺言作成に関与していた場合の注意点(同席・主導・囲い込み)



