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名義株をめぐる相続トラブルとは?原因と対応策を解説

名義株をめぐる相続トラブルは、家族や親族間での争いの原因となるだけでなく、企業経営にも深刻な影響を及ぼします。本記事では、名義株が相続トラブルを引き起こす理由と、名義株問題についての対応策について解説します。 

名義株とは

名義株とは、株主名簿に記載されている名義人と実際の出資者が異なる株式のことを指します。 

なぜこのようなことが起きているかというと、現在の会社法では一人で会社を設立することができますが、2005年の会社法成立前の旧商法では株式会社の設立には3人以上の発起人が必要とされ、更に昔の1990年より前の商法では7人以上が必要とされていました。そのため、会社経営に無関係な親族や知人に名前だけを借りて頭数を揃え、実際には一部の人間だけが出資して会社設立をするということが行われ、出資をしていない人間が株主として名を連ねているという状態になっている場合があるのです。 

また、そのような場合と異なり、中小企業の経営者が将来の事業承継における相続税対策を意図して、子どもの代わりに自分が出資金を出して、実際には出資をしていない子どもを株主名簿に載せているというケースもあるようです。 

名義株については、名義を貸しているだけの人(名義人)と名義を借りている人(名義借用者:実際に経営をしている人)のどちらが真実の株主であると考えればよいのか問題になりますが、判例においては、実際に出資をした名義借用者が真実の株主であるとされています。

名義株のリスク

このような、実態に則さない名義株が放置されてそのままになっていると、いろいろな問題が生じます。 

⑴ 名義を貸していた人が亡くなった場合 

名義株について、株主名簿上の名義人が亡くなった場合、外形上は当該名義人が株主であるように見えますが、実際には、出資もせず名義を貸していただけの人ですので、本来は、株主としての権利がありません。 

しかし、名義人が亡くなり、相続が発生してしまうと、当該名義人の相続人はそのような事情を知らないことも多いので、本当は株主でないのかどうなのかということが全くわかりません。そうすると相続人としては、遺産の中に株式があったということで、会社に対して株式の名義変更を求めたり、株主総会への出席や議決権行使、株式買取請求などの、株主の権利を行使してくる可能性があります。を相続時に誰が本当の所有者なのかを巡って争いが生じることがあります。 

⑵ 名義を借りていた人が亡くなった場合 

名義を借用していた人(実際に経営している人)が亡くなった場合、その相続人からすると、名義株について株主名簿上は被相続人が名義人になっていないため、名義株の本当の権利者が被相続人であることが必ずしもわかりません。 

このような場合、名義貸しをした人がどのような対応をするかにもよりますが、事実関係がはっきりしなかったりして、名義株を相続財産として適切に処理することが難しくなります。 

⑶ 経営者が自ら出資しつつ株式を子ども名義にしていた場合 

このような場合は、子どもが実際に出資していないので、真実の株主は親である経営者となります。親が亡くなり、これを子ども名義のものとして相続税申告の対象から外して処理をした場合、後日、税務調査などが入って名義株であったことが発覚すると、相続税の追徴課税等を受ける可能性があります。 

また、被相続人が出資をしたものの相続人のうちの1人の名義となっている株式があるというようなケースでは、遺産分割の手続において、それが被相続人名義のものとして遺産分割の対象とすべきなのか、名義人の固有の財産だから遺産分割の対象外とすべきなのかという形で争いとなる可能性があります。 

まとめ

このように、名義株は、相続や経営に関するトラブルを引き起こすリスクを抱えているといえますが、適切な準備対応ができれば、こうした問題を未然に防ぐこと可能です。トラブルが発生する前の対策が重要ですので、名義株の扱いに不安がある場合は、早めに弁護士等の専門家に相談しましょう。 

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