Columnコラム

相続が終わっても安心できない!何故前妻の子が土地を?

晩婚化の傾向がみられる昨今。適齢期を迎えた息子が結婚し、ようやく肩の荷が下りた心地に。先祖代々受け継いできた土地を息子に相続し、可愛らしい孫息子にも愛され、幸せな日々…。そんな平和な日々に水を差す、知られざる意外な落とし穴があることをご存じですか?

相続後の波乱!離婚する息子夫婦

親が安心しきっていても、息子夫婦の仲に亀裂が入ることもあります。日々の生活のすれ違いから始まり、決め手は息子の浮気。順風満帆にみえた息子夫婦の関係は、離婚という形で幕を閉じます。離婚の際には「財産分与」を行い、夫婦で築き上げた財産を分け合うことになりますが、息子に相続した土地はどうなるのでしょう?土地は代々受け継がれてきたもので、夫婦で築き上げた財産には入りません。よって、無事息子の手元に残る形となりました。ご先祖様から相続され続けてきた土地はなんとか守られましたが、残念ながら可愛い孫息子は離婚をした前妻の子となり。引き取られることになりました。

今後の相続を気にする両親

息子は結局、浮気した女性と再婚することになりました。浮気相手の女性は仕事が大好きで、結婚しても仕事は続けたいとのこと。前妻の子関係のトラブルも記憶に新しく、2度目の結婚では子どもを作らないことを決意しました。ご両親は、今後家を継いでいく跡取りがいないことに動揺を隠せません。あの手この手を使って息子夫婦に子作りを勧めますが、息子夫婦はその両親の態度にショックを受け、より反抗的になっていきます。これにはご両親も黙ってはいません。怒った両親は、息子に相続した土地を返すよう強く要求しましたが、息子はまともに取り合わない態度です。

白熱する相続問題

跡取り問題の雲行きが怪しくなる中、息子が亡くなってしまいます。遺言書が残されていないケースでは、息子に相続された土地の半分が前妻の子に渡ります。しかし前妻の子がまだ幼いことをいいことに、前妻と後妻の熾烈な相続争いをはじめてしまいました…。前妻の子は血筋としては家を継ぐ権利があるともいえます。しかし現時点では前妻の手に渡ることになり、その段階で土地を売却されてしまうと、第三者が土地を手に入れることになってしまいます。残念ながら相続が発生している段階で両親にできることは、前妻もしくは後妻から土地を買い戻すという手段のみです。結果的には土地を買い戻すことに成功しましたが、相場以上の金額を支払うハメになってしまいました。

将来設計の決めつけは相続トラブルの元

両親はどこに注意すればこの深い落とし穴を回避できたのでしょうか?トラブルの原因は、両親が息子の将来が安泰であると決めつけたことにあります。結婚が幸せというイメージは現代では大きく変化しており、結婚しない幸せや、独身でいることの幸せも大きな意味合いを持つようになりました。そんな選択もあるなかで、離婚という選択は決して特別ありません。息子が結婚したことで、「何が起こるかわからない」と疑わず、対策を講じていなかったことが原因としてあげられます。

長男というだけで簡単に相続を決めない

2つ目は、息子と良好な関係性を築けなかったことにあります。長男という理由だけで相続を決め、息子夫婦の内情を理解しようとしなかったために広がった溝は、取り返しのつかない事態を引き起こしました。理解を深めて良好な関係を保てていれば、土地についての話し合いもできたはずです。長男だから相続をするという形だけの取り決めでなく、内情をしっか理解したうえでの対策を考える必要があったように思えます。

将来的な相続を見据えていく

土地を守りつつ、相続を続けていくにはどうしたらよいのでしょうか。
簡単に相続を決めず、自身での管理が可能であれば、しっかりと手元で管理をすることをおすすめします。難しければ専門家等の助けを借りるのも手ですが、決して所有権だけは手放さないようにしましょう。また、遺言書を残しておくのも大切です。いつどんな事態が起こるかわかりません。トラブルのないよう、継承先を残しておきましょう。遺言書は何度でも書き換えられるため、将来の関係性に影響があった場合でも安心です。

信託契約書の作成が有効

両親が高齢化により、判断能力が失われてきた場合は、信用できる親族・第三者に管理を任せましょう。土地の管理を任された受諾者は信託契約書を作成することで契約上の責任を負うことになり、契約書の意思に基づいた土地の管理や、老後の資金繰りもしやすくなります。信託契約書では、次世代より先の相続先も定めることが可能です。亡くなった後でも土地を守りたいという意思は残り続けます。

まとめ

取り返しのつかなくなる前に、早めの対策を考えましょう。固執を捨て、状況に応じた行動をとることでトラブルを避けることができ、より自分の意思通りの相続が実現します。

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