超高齢社会における事業承継の必要性について②事業承継の実行手順 ~相応の期間が必要
上記の通り、事業承継の必要性・緊急性は以前に増して高まっているわけですが、事業承継は、思い立ったらすぐに実行できるというものではありません。
中小企業庁は、「事業承継ガイドライン」(平成18(2006)年公表。平成28(2016)年改定。)において、事業承継の円滑な実行のための5つのステップ(下表)を示しています。
事業承継の方法は、親族または従業員に承継するのか、第三者に引き継いでもらうのか、によって行うべき事項が多少異なる部分が生じますが、親族や従業員などの身内であれ、第三者であれ、会社を引き継ぐメリット・魅力等がないと引き継ぎたいと思えないですし、承継による負担やリスクが大きいと思われれば不安になります。そのため、後継者・引継ぎ先となって欲しいと思っても、引き受けてもらえません。
そのため、円滑に事業承継を実行するためには、図表のステップ2・ステップ3に掲げられている、経営状況・経営課題の把握(見える化)や経営改善といった実行の前に行う準備・計画が重要になります。これらの準備・計画および実際の引継ぎの手続を含めて考えると、事業承継には、十分な時間的余裕をもって取り組む必要があります。後継者の育成も含めて考えると準備には5~10年程度を要するとも言われていますので、準備の着手は早いに越したことはないでしょう。