Columnコラム

超高齢社会における事業承継の必要性について弁護士が解説①経営者の高齢化と事業承継の必要性

日本企業全体の99.7パーセントを占め、付加価値額においても5割を超える中小企業。日本経済を支えるこれらの中小企業が持つ貴重な経営資源を次世代の経営者(後継者)へ引き継ぐ重要性が叫ばれて久しくなっています。しかしながら、依然としてその課題は改善されず、それどころか、高齢化の進展に伴い経営者の高齢化も進んだことから、一層喫緊かつ重要な課題となっています。

当事務所が月に1回発行しているNewsLetterで、8月に「超高齢社会における事業承継の必要性について」をテーマに弁護士による解説記事を掲載いたしました。ここではそれを、パートごとにご紹介いたします。

 

  1. 経営者の高齢化と事業承継の必要性
  2. 事業承継の実行手順 ~相応の期間が必要
  3. 事業承継で直面しがちな問題

 

について解説しておりますので、ぜひご覧ください。まずは、①経営者の高齢化と事業承継の必要性についてです。

日本の経営者の平均年齢は、年々過去最高齢

経営者の平均年齢は2009年以降、一貫して上昇し、2019年には過去最高齢を更新する62.16歳となりました。

年代別の中小企業経営者の年齢分布を見ると、これまでピークを形成していた団塊世代の年齢層が減少している一方、70歳以上の経営者割合が増えています。(第2-3-9図。「中小企業白書2021」Ⅱ-305頁から抜粋)

次に、経営者の年齢別増収企業の割合を見てみます。経営者年齢が30代以下の企業では増収企業の割合が6割程度であるのに対し、80代以上の企業では4割程度であり、経営者年齢が上昇するほど増収企業の割合が低下しているものとみることができます。

経営者年齢別の新事業分野への進出の状況、設備投資の実施状況および試行錯誤(トライアンドエラー)を許容する組織風土の有無といった観点から見ても、いずれも経営者年齢が若い企業ほど、長期的な視野に立って経営を行って事業を拡大しようとする意向が強くなる可能性が指摘されており、こうした取組や組織風土が売上高や利益などのパフォーマンス向上に影響している可能性があるといえるでしょう。

事業承継の必要性

事業承継については、以前から、中小企業の経営資源を次世代に承継して、継続的に経済的価値を創出できるようにすることの重要性が指摘されていたところですが、現在では、価値の創出どころか、経済的価値の維持も怪しくなってきており、それを食い止めるための事業承継の必要性・緊急性が具体的に高まってきているものといえるのです。

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