要点
- 「本人が書いたか」「改ざんがないか」は遺言無効の重要争点になり得ますが、鑑定だけで結論が決まるとは限りません。
- 原本の状態、比較資料(過去の筆跡)、保管状況、作成経緯などを組み合わせて検討します。
- 争点化しそうなら、原本確保と比較資料の収集方針を早めに立てることが有益です。
筆跡・印影・日付が争点になる典型場面
- 本人の筆跡と違うように見える
- 日付が不自然(後から書き足したように見える等)
- 押印が本人の印鑑と異なる疑い
- 訂正や加筆が多く、作成過程が不透明
これらは「方式」の問題としてだけでなく「真正(本人作成か)」の観点でも問題となり得ます。
筆跡鑑定の位置づけ
筆跡鑑定は、本人筆跡かどうかの判断材料になり得ますが、一般論としては次の点に注意が必要です。
- 比較資料の質と量で精度が左右され得る
- 遺言作成時期と比較資料の時期が離れると、評価が難しくなる場合がある
- 加齢や疾病、利き手の変化等で筆跡が変わることもある
- 鑑定“だけ”で結論が決まるとは限らず、他の事情と合わせて評価されることがある
比較資料として検討されるもの(例)
入手可否は事情によりますが、次のような「本人が書いた可能性が高い」文書が比較資料になり得ます。
- 過去の手紙、葉書、日記
- 銀行の届出書類、口座開設書類
- 施設の入所申込書、同意書
- 契約書・申込書の署名欄(本人署名のもの)
日付・押印の争い方
日付
日付は、遺言の前後関係(どれが最新か)や、作成時点の状態(意思能力)とも結びつき得ます。
日付の記載が特定できるか、改ざんの疑いがあるかなど、原本の状態を前提に検討されることがあります。
押印(印影)
押印が方式要件と結びつく場合や、印影の不自然さから真正が争点になることがあります。
印鑑の保管者、押印の経緯、他書類の印影との比較など、周辺事情と合わせて検討します。
原本の確保と保全が重要な理由
筆跡・加筆・修正の疑いがある場合、原本に触れることで状態が変わったと疑われないよう、取り扱いには注意が必要です。
原本の所在・保管者・発見経緯を整理し、必要に応じて保全を検討します(具体的手段は事情により異なります)。
よくある質問(FAQ)
Q. 筆跡鑑定をすれば結論が出ますか?
鑑定は判断材料にはなり得ますが、それだけで直ちに結論が出るものではありません。
原本の状態や鑑定に用いた比較資料、遺言の保管状況などと合わせて総合的に検討されることがあります。
Q. 比較資料は何が使えますか?
過去の手紙・契約書・銀行書類などが候補になります。
作成時期が近いほど参考になりやすい場合があります(入手可否は事情によります)。
Q. 日付や押印が不自然な場合はどう見ますか?
方式不備・作成の真正の両面で争点になり得ます。
訂正痕や印影の種類、保管者など具体事情を確認して整理します。
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