要点
- 成年後見の開始時期や申立資料は、遺言作成時の状態を検討する際の参考事情になることがあります。
- 後見開始の前後で、意思能力や作成経緯の見方が変わる場合があるため、時系列整理が重要です。
- 無効が難しい場合でも遺留分を検討できることがあるため、全体の見通しを早めに確認することが有益です。
成年後見と遺言が結びつく場面
成年後見制度は、判断能力が十分でない方の財産管理・身上保護を支える制度です。
相続の場面では、遺言の有効性(特に意思能力)を検討する中で、次のような事情が関係してくることがあります。
- 遺言作成の前後で、後見開始の申立てがされている
- 後見開始が遺言作成時期と近い
- 申立資料(診断書等)と遺言作成時の状態が争点になり得る
※後見開始があるからといって、遺言が直ちに無効になると断定できるわけではありません。
争点になりやすいポイント
1) 「遺言作成時点」の状態が中心になる
後見開始の事実は重要な事情になり得ますが、最終的には遺言作成時点の状態が検討対象になります。
そのため、後見の有無だけでなく、医療・介護記録などの資料とあわせて検討します。
2) 後見申立ての経緯(いつ、なぜ、誰が)
後見申立ての時期や理由は、遺言作成時点の状況を理解する手がかりになることがあります。
ただし、申立ての動機(家族間の事情)なども絡むことがあり、評価は事案により異なります。
3) 後見開始前後で「手続選択」が変わることがある
相続の争いでは、遺言無効の検討と並行して、遺産分割・遺留分など他の手続も絡みます。
後見関係がある場合、関係者の範囲やコミュニケーションの相手方が増え、調整が複雑になることがあります。
実務上の整理の仕方:時系列整理と裏付け資料の取得検討
まずは、次のような事実関係を時系列で並べると状況が整理しやすくなります。
- 認知症診断や受診の開始時期
- 介護サービス開始・施設入所
- 後見申立て日/開始審判日
- 遺言作成日(自筆/公正証書)
- 金銭管理の移行(誰が管理していたか)
よくある質問(FAQ)
Q. 後見開始後に作った遺言は無効ですか?
一律に無効と断定はできません。
後見開始の経緯や作成時の状態、遺言の内容・作成状況により評価が変わり得ます。
Q. 後見開始前の遺言でも、後見の資料は役立ちますか?
申立資料等が、時系列整理の手がかりになることがあります。
入手可否や評価のされ方は事情により異なります。
Q. 認知症との関係はどう整理しますか?
後見開始の有無だけではなく、遺言作成時点の意思能力を資料で検討します。
医療・介護記録と作成経緯をあわせて整理するのが一般的です。
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総合解説: 遺言無効を検討する際の基本(理由別の見立て)を見る
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成年後見が関係する場合、遺言作成時点の状態や関係者の整理が必要になり、検討事項が増えることがあります。 後見関係資料も含めて時系列を整える段階から、ご相談いただけます。
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