要点
- 介護費・生活費は正当な支出である可能性もあるため、まずは内訳と根拠資料を丁寧に確認します。
- 領収書が不足していても、施設費の請求書や介護記録など周辺資料で整合性を検討できる場合があります。
- 決めつけを避けて「説明を依頼する」形で進めることが、相続人間の対立を広げにくい傾向があります。
介護・生活費の出金が増えやすい場面
相続で「預金の使い込み(使途不明金)」が疑われるとき、相手方から「介護費に使った」「生活費の立替だった」と説明されることがあります。介護や療養が続いていた場合、現金支出が増えること自体は珍しくありません。
介護・生活費が増えやすい典型的な場面としては、例えば次のようなものがあります。
- 介護サービス利用が増え、立替払いが生じていた
- 施設入所や入退院が続き、支出の頻度が増えた
- 本人が現金管理しづらくなり、家族が買い物等を代行していた
したがって、まずは「介護費・生活費」という説明が成り立つ可能性があることを前提に、資料と時系列で整合性を見ていくことが重要です。
領収書がない場合に見ていく資料(周辺資料で補う)
領収書が十分に残っていない場合でも、周辺資料から一定の整合性を検討できることがあります。一般論として、次のような資料が手がかりになる場合があります。
施設・介護サービス関係
- 施設の契約書、請求書、口座振替の記録
- 介護サービスの利用票、ケアプラン、訪問介護の記録 など
医療・入院関係
- 医療費の領収書(残っている範囲)
- 入院費の請求書、薬局の領収書 など
生活実態に関する資料
- 公共料金・保険料など定期支出の履歴(口座振替の履歴で追える場合があります)
- 同居状況、介護の担い手、買い物頻度のメモ など
「領収書がない=直ちに不正」と決めつけるのではなく、説明と資料の整合性を確認し、疑問が残る取引を絞っていくのが現実的です。
取引履歴から「介護費・生活費らしい動き」を見分けるヒント
取引履歴(入出金明細)だけで使途を特定することは難しい場合がありますが、整理のヒントとしては次のような視点があります。
- 施設費・介護サービス費の引落があるか(口座振替)
- 特定の時期に支出が集中しているか(入院・退院の時期と一致するか)
- 出金が一定の金額・周期で繰り返されているか(定期支出の可能性)
- 一方で、金額が大きい/頻度が高い取引が混在していないか
こうした観点から、介護費等の説明が付く可能性が高い取引と、追加の説明が必要な取引を分けていきます。
相手方への「説明依頼」の仕方(対立を避ける)
介護費・生活費の説明が出た場合、相手を非難する形ではなく、次のように確認する形にしたほうが話し合いが進めやすくなることがあります。
- 「どの支出(施設費・医療費等)に充てたのか、分かる範囲で内訳を教えてほしい」
- 「資料が残っていれば提示してほしい(請求書、口座振替記録など)」
- 「立替であれば、精算の考え方を一緒に整理したい」
このように「説明+資料提示」を求めると、遺産分割の中での調整案も検討しやすくなります。
争点化しやすいパターン(一般論)
介護費・生活費の説明があっても、次のような事情が重なると争点化しやすい傾向があります。
- 出金が高額・高頻度で、生活実態と合わないように見える
- 介護費と言われるが、施設費等の固定支出が別に存在している
- 通帳・カードの管理が特定の相続人に集中していた
- 説明が一貫しない/資料が全く出てこない
このような場合でも、まずは取引の絞り込みと資料整理を行い、交渉での着地点を探ることが有効です。
相談のタイミング

介護費・生活費の説明がある場合は、対立を強めない整理が重要になりやすい一方で、資料が乏しいと議論が長引くこともあります。取引履歴と周辺資料から整理の筋道を立てておくことで、話し合いの見通しが立てやすくなる場合があります。
当事務所では初回60分無料で、現状に応じた確認ポイントと進め方を一緒に整理します(全国対応/オンライン相談可※要事前本人確認/電話受付:平日9:00~20:00)。



