Columnコラム

土地の賃借人が亡くなったとき、相続人がいなかったら・・・

あなたは土地などの不動産を所有し、その土地に賃借人が家を建てて住んでいるとします。もし、その賃借人が亡くなり、相続人がいなかったらどうなるでしょうか。土地の所有者と賃借人の法律関係がどうなるか、事前にどのような対応をすればよいのかについて考えてみましょう。

 

土地の賃借人が亡くなったとき、相続人がいなかったら・・・

自分の所有する土地の賃借人が建物を建てて居住、その賃借人(ここではAさんとします)に相続人がいない、そういう経験がある不動産所有者の方は多いかもしれません。

Aさんが何の対策もせずに亡くなってしまうと、Aさんには地上の建物と借地権(土地の6割から7割の価値といわれています)の遺産があることになります。

しかしながら、相続人がいないためにこの遺産を誰も受け取ることはできません。さらに、土地の所有者も、建物と借地権を取得すること、つまり、土地の返還を受けることはできません。

ではどうなるかというと、Aさんと利害関係のある人(土地の所有者やローンを借りていた場合は金融機関なども含まれます)が、家庭裁判所に相続財産管理人※の選任の申し立てをし、Aさんの遺産を整理、最終的に残った遺産が国家に帰属することになるのです。

(※相続人のいない人の遺産を生産する役割を担う人です)

考え得る対応策は

こうした手続きには、手間と時間が非常にかかります。そこで考えられる例を紹介します。

実際にあった例をご紹介すると、まずは、Aさんが建物を使用しなくなった段階(施設入居など)で賃貸借契約を終了させるようにします。これは土地を返却してもらうことが目的で、Aさんからすれば借地権相当額を失うことになります。これは所有者にとってメリット、Aさんにとってはデメリットです。

次に、賃貸借契約が終了した時点で、土地上の建物の所有権も土地所有者に譲渡してもらいます。これはケースによっては、建物を解体せざるを得ない場合が多く、解体費用を負担する所有者側にデメリットが大きいといえるでしょう。

そして、所有者がAさんの意向に従って、建物内のAさんの不動産を処分します。こうした不動産の処分にも費用がかかりますが、これは所有者がもちます。不要となる建物(動産)を土地の所有者が処分するのでAさんにはメリットとなります。

 

当事務所での対応

前述の例では、Aさんと所有者の間で、上記の案で合意がなされ、公正証書が作成されました。

借地権は土地の6割から7割があるといわれますが、利用する人間がいない場合には、価値を持ちません。所有者はもちろん賃借人であるAさんの立場の人にとっても、自分がなくなった後の整理は重要です。あらかじめ、契約書などを作成しておくことをおすすめします。

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