要点
- まずは取引履歴などで事実関係を整理し、交渉・遺産分割の枠組みでの解決を目指すのが一般的です。
- 相手方には「決めつけ」ではなく、特定の取引について「内訳と根拠資料」の提示を求める形が進めやすいことがあります。
- 合意が難しい場合に備え、記録化と争点整理を並行しておくと次の手続(調停等)へ移りやすくなります。
Step0:最初に“目的”を揃える(対立を広げない)
使途不明金の問題は、感情的な対立に発展しやすい一方で、相続手続としては「遺産分割の中でどう整理するか」が現実的なテーマになります。
そのため、最初に次の点を確認しておくと、議論が拡散しにくくなります。
- 目標は「説明を得ること」か、「遺産分割での調整」か
- 相手方が協力的か(連絡は取れるか、代理人が付いているか)
- いつまでに何を決めたいか(相続税申告等の別スケジュールがある場合)
ここを揃えた上で、資料収集と説明依頼を進めると、不要な衝突を避けやすくなります。
Step1:資料収集(取引履歴+時系列表)
最初の作業は、できるだけ客観資料で「起きたこと」を並べることです。
取引履歴の取得
取引履歴(入出金明細)を取得し、疑問のある期間を中心に、出金・振込等を把握します。
→ 詳細は預金の取引履歴(入出金明細)の取り方|金融機関への請求手続
- 日付/金額/取引種別/相手先(分かる範囲)を一覧化
- 「確認したい取引」に印を付ける
- 介護・入院など生活イベントも同じ表にメモする
この表を作ってみると、相手方に確認すべき事項が具体化し、調停等に進む場合でも整理資料として活用しやすくなります。
Step2:相手方へ「説明・資料」の提示を求める
求めるのは“内訳と根拠”
相手方に説明を求めるときは、次のように「確認したい取引」を特定して、内訳・根拠を求める形にすると比較的進めやすいといえます。
- 例:「○月○日の10万円の引出しは何に充てたか、分かる範囲で資料があれば提示してほしい」
“使い込み”と断定しない
同じ取引でも、介護費・生活費の立替など合理的な説明が付く場合があります。最初の段階では断定的な表現を避け、説明が付くかどうかを確認する姿勢をとると、交渉が壊れにくい傾向があります。
Step3:遺産分割協議の中での調整案を検討する
説明が得られ、支出の合理性が一定程度確認できる場合もあれば、説明が不十分で「調整が必要」という結論になる場合もあります。
遺産分割協議では、次のような観点から“着地点”を検討します(いずれも一般論であり、具体的な当てはめは事情により異なります)。
- 説明できる支出/説明しにくい支出の切り分け
- 他の相続財産(不動産・預金残高等)とのバランス
- 支払い方法(分割、相続分での調整等)を含めた現実性
Step4:まとまらない場合は調停等を検討する
交渉で合意できない場合、家庭裁判所での手続(調停等)を検討することになります。
調停で争点になりやすいのは、次の点です。
- どの取引について説明が必要か(争点の絞り込み)
- 客観資料(取引履歴、一覧表、領収書等)
- 生活状況との整合(介護・入院・施設費等)
交渉段階から時系列表や資料の整理ができていると、次の手続に進む場合でも見通しが立てやすくなります。
→ 遺産分割調停で使途不明金が争点になるときのポイント

相手方に確認したい取引が多い、資料が出てこない、交渉が感情的になっているといった場合、早めに争点と資料を整理しておくと次の手が選びやすくなることがあります。
当事務所では初回60分無料で、資料の有無と経緯を踏まえ、無理のない進め方を一緒に確認します(全国対応/オンライン相談可※要事前本人確認/電話受付:平日9:00~20:00)。



