プロベートについて弁護士が解説

プロベートとは

主に英米法系の国々で行われる相続手続の一種です。被相続人の死後にその保有財産が一旦裁判所の管轄下に置かれ、遺言がある場合には裁判所がその有効性を判断し、裁判所が選任した人格代表者が遺産から債務を精算して申告納税手続を行うなどの遺産管理を行い、最終的に遺産の分配まで行う手続です。

なお、日本では、被相続人の死亡によりその財産も債務も包括的に相続人が承継するという包括承継主義を採用しているため、プロベートのような手続は存在しません。

人格代表者とは

遺言がある場合には遺言執行者(Executor)、遺言がない場合は遺産管理人(Administrator)のことをいいます。

遺産管理をさせるために裁判所が選任します。アメリカ合衆国の多くの州では、

①遺言で指名された者
②受遺者である生存配偶者
③その他の受遺者
④生存配偶者
⑤相続人
⑥相続債権者

の順で選任されます。

プロベートの問題点

プロベートは、申立てから手続の終了までに通常1~3年ほどかかり、手続が終了するまでは相続財産の利用や処分が制限されてしまいます。

また、弁護士や会計士、不動産鑑定士などの専門家に依頼する必要があり、高額の報酬が発生します。

さらに、被相続人の遺言書や財産の内容、相続人の情報などの個人情報が開示されてしまうため、プライバシーの問題も生じます。

プロベートの回避方法

上記のとおり、プロベートには多くの問題点があるため、様々な回避方法が用いられています。

具体的には、生前に信託を設定することでプロベートを回避する生前信託(リビングトラスト)、複数人で財産を共同所有することで一人の死亡時に自動的に他の所有者に権利が移転する共同所有(ジョイント・テナンシー)、複数人で一つの口座を開設する共同口座(ジョイント・アカウント)、銀行口座・証券口座・不動産について口座開設時や取得時に受取人を指定しておくこと(受取人指定財産)などの回避方法があります。

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