Columnコラム

遺産分割協議のやり直しができる4つの場合

内容をよく理解しないまま遺産分割協議書に押印してしまい、よく考えるとおかしいので納得できないなど、後から遺産分割協議をやり直したいと思った場合、やり直しはできるのでしょうか。

遺産分割協議は、相続人全員が合意して成立させたものですので、原則としてやり直すことはできません。

ただし、一定の場合にはやり直しをすることができ、合意の過程に問題があった場合は遺産分割協議が無効または取り消しになる場合があります。もっとも、遺産分割協議をやり直す場合には、相続税以外の贈与税や譲渡所得税などの税金がさらに課税される可能性があるなどリスクもありますので、安易なやり直しは危険です。

遺産分割協議のやり直しができるのは、次の場合です。

①相続人全員が合意する場合

相続人全員の合意により成立した遺産分割協議は、一部の相続人の希望だけでやり直すことはできませんが、相続人全員が合意すればやり直すことができます。やり直しに期限はありませんので、いつでも可能です。

ただし、やり直したい相続人は通常一部であることから、全員の合意を得ることは非常に困難です。また、調停や審判で遺産分割が成立している場合は、特別な事情がない限り、やり直しは認められません。

相続人全員の合意により遺産分割協議をやり直した場合、新たに税金が発生する可能性があります。既に成立した遺産分割協議をやり直して財産を受け取ることは、相続ではなく贈与または譲渡とみなされるためです。贈与とみなされれば贈与税が、譲渡とみなされれば譲渡所得税が生じます。贈与税の税率は相続税よりも高いため、相続税を払っていた場合にはさらに高額な贈与税の負担を負うことになります。相続により不動産を取得した場合は不動産取得税はかかりませんが、遺産分割協議のやり直しにより不動産を取得した場合は、不動産取得税がかかります。

②新たな財産が見つかった場合

遺産分割協議が成立した後に新たな財産が見つかり、合意書にその手当がない場合は、再度協議が必要になります。この場合は、新たに見つかった財産の分割方法のみを協議すれば足りますが、相続人全員が全部の遺産分割協議のやり直しを希望すれば、全部について協議のやり直しができます。

③遺産分割協議が無効な場合

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるため、一人でも参加していない相続人がいると、その協議は無効となります。

また、認知症で判断能力のない相続人が参加していた場合も無効ですので、認知症の方に成年後見人を選任し、その方が代理人として遺産分割協議に参加しなければなりません。

その他、重要な事実に勘違いがあった(錯誤)の場合も、無効になります。なお、無効を原因とする遺産分割協議のやり直しの場合には、贈与税や譲渡所得税はかかりません。

④遺産分割協議が取り消しになる場合

誰かに騙されたり(詐欺)脅されて(脅迫)行われた遺産分割協議は取り消すことができます。

遺産分割協議のやり直しに期限はありませんが、取り消すための時効はあり、詐欺や脅迫により勘違いがあったと気が付いた時から5年です。

5年を経過すると、取消権を行使できなくなりますので、これを理由とした遺産分割協議のやり直しはできなくなります。取消を原因とする遺産分割協議のやり直しの場合にも、贈与税や譲渡所得税はかかりません。

遺産分割が絡んだ相続は専門家にご相談を

遺産分割を進められない理由がある場合や、何から手をつけてよいのかわからない場合は、専門家に相談して適切に解決できるようにしましょう。

弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所は2009年創業。当事務所では民事事件を主に取り扱っており、相続に関するご相談には経験豊富な弁護士2名体制でお客様をサポート致します。不動産が絡む相続問題に強みがあり、売却に強い不動産会社と協力して、ご相談だけでなく売却等のお手伝いもしているのが特徴です。

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