相続税を払いすぎたかもしれない場合の対応

相続税は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に申告する必要がありますが、申告したら安心できる、というものでもありません。
相続税は、払いすぎることがままあるからです。

相続税を払いすぎる理由

相続税を払いすぎる理由としてまず挙げられるのが、土地の評価の問題です。土地の評価には様々な減額要因が存在しますが、これらを適切に適用して評価をしないと、本来より高額な算定となってしまい、相続税の払いすぎに繋がります。そのため、相続財産に土地が含まれている場合は要注意です。

また、不公平に思われるかもしれませんが、税務署は、「払い足りない」場合には指摘するくせに、「払いすぎた」場合には何も教えてくれないのです。そのため、自ら払いすぎの可能性に気づいて対処をしないと、払いすぎた税金はそのままになってしまうのです。

さらに、相続税に精通している税理士が意外と少ないことも、払いすぎに繋がります。自分の依頼した税理士が相続税申告に慣れていなければ、本来適用されるべき減額要因を適用していないなどの間違いが発生し、事後的に相続税に精通している税理士に見てもらったら払いすぎが発覚した、などということは普通に起こり得ることです。

相続税を払いすぎた場合の対応

ここまで読んで、「相続税を払いすぎたかもしれない…」と思うようであれば、まずは相続税に精通した税理士に相談しましょう。また、払いすぎた税金を取り戻すためには、土地の評価がポイントになりますので、不動産鑑定士と連携して現地調査等にも対応してくれるような税理士を探しましょう。

税理士に相談した結果、相続税を払いすぎたということであれば、税務署に対して「更正の請求」を行います。更正の請求とは、誤って納税してしまったものについて訂正を求めるものです。

更正の請求を行うと、3~6か月ほどかけて税務署で審査が行われます。その結果、当初の申告内容が誤っていたと判断されれば、正しい計算方法に基づいて税額が再計算され、払いすぎた税金が還付されます。

当初の申告内容に誤りはなかったとして更正の請求が却下された場合には、税務署長から更正すべき理由がない旨の通知が届きます。この場合、不服があれば、当該通知を受け取ってから3ヵ月以内に、税務署に税務署に対する再調査の請求又は国税不服審判所に対する審査請求を行うことが可能です。再調査請求も却下された場合には、その決定書を受け取ってから1ヵ月以内に国税不服審判所に対する審査請求を行うことが可能です。

これらの再調査や審査によって相続税の還付が認められることもあり得ますが、これらが認められなかった場合でも、最終的には弁護士に依頼して税務訴訟で争うことが可能です。

なお、更正の請求は、法定申告期限から5年以内、つまり、相続人が死亡したことを知った日の翌日から5年10か月以内に行う必要があり、当該期間を過ぎると、どんなに多額の払いすぎがあっても還付してもらうことはできなくなります。更正の請求をするには、税理士探しや調査等の準備期間も入れると1年近くかかる可能性もありますので、払いすぎが疑われる場合には、早めに行動を起こす必要があります。

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