死後事務委任契約~自分が死んだあとの事務手続きは誰が?
死後事務委任契約とは?
死後事務委契約とは、自身が死亡した後に発生するさまざまな事務手続を、第三者に委任する契約をいいます。
人が亡くなった後は、葬儀や親族・知人等への連絡、家や家財の整理、未払費用の支払、サービスの解約等、あらゆる手続に対応しなければなりません。
死後委任契約を締結しておけば、自身の死後に発生する事務手続を依頼できる親族が身近にいない場合であっても、これらの手続をスムーズに進めてもらえるので安心です。また、契約内容に従って、自身が生前に希望したとおりに手続を進めてもらうことができます。
いつ、誰に、どのようなことが頼める?
死後事務委任契約は、健康状態や判断能力に問題がない時に締結する必要があります。たとえば認知症を発症し、判断能力が不十分になってから契約すると、後日、契約そのものの有効性が問題になって争いが生じたり、契約内容に不備があっても気づかない可能性があるからです。
次に、誰に死後事務を委任するかですが(委任する相手方を「受任者」といいます。)、信頼できる相手であることが最も重要であり、特に資格等は必要ありません。親族や知人に依頼するケースもあれば、法律の専門家である弁護士等に依頼することもあります。
親族や知人であれば、自身の気持ちや思いをより理解してくれるでしょうし、弁護士であれば、相続など、死後事務以外の分野についても幅広く法的アドバイスを受けられるというメリットがあります。
また、死後事務委任契約で依頼する内容ですが、法律で禁止されていない行為であれば、契約で自由に決めることができます。
冒頭に挙げた葬儀や親族・知人等への連絡、家や家財の整理はその典型例ですが、他にも健康保険証の返納や年金受給の停止手続、墓石の選定・建立や永代供養の手配、駐車場や携帯電話の解約、ペットの世話、スマホやパソコンのデータの整理や消去、SNS上での報告など、あらゆる依頼が考えられます。自身にとって必要な事柄をピックアップして、過不足なく契約内容に反映させるようにしましょう。
遺言を書いておけば大丈夫?
死後事務委任について、わざわざ契約を締結しなくても遺言書に書いておけば良いのでは?と思われるかもしれません。しかし、死後事務は法定の遺言事項(遺言で定められる事柄)に含まれていませんので、死後の事務手続を依頼する内容を遺言書に書いても、法律上の拘束力は生じません。そのため、自身が希望するとおりに、確実に死後事務を実行してもらうためには、やはり死後事務委任契約を締結する必要があります。
なお、死後事務委任契約を締結する場合は、必ず相続人とその内容を共有しておき、後々、死後事務の受任者と相続人との間でトラブルにならないようにしておきましょう。