Columnコラム

Q:相続放棄が無効になってしまうケースはありますか?

A:家庭裁判所により相続放棄が受理されたとしても、その後において、相続放棄の効力が否定されることがあります。

家庭裁判所による相続放棄の受理とその効力について

相続放棄をしたいと思った場合、家庭裁判所に、相続放棄の申述(相続放棄の申立て)をする必要があります。

その後、家庭裁判所が審理をし、相続放棄を認めて良いかどうかの判断をします。

家庭裁判所が、相続放棄を認めて良いと判断した場合、家庭裁判所は、相続放棄につき受理の決定をします。

他方、家庭裁判所が、相続放棄を認めないと判断した場合、相続放棄につき却下の決定をします。

家庭裁判所により相続放棄が受理された場合、裁判所から相続放棄受理通知書が送られてきます。

また、申請をすれば、相続放棄受理証明書を貰うことも出来ます。

被相続人(亡くなった方)の債権者から金銭を支払うよう請求されたとしても、通常、相続放棄をしたことを伝え、相続放棄受理通知書や相続放棄受理証明書を提示すれば、その後は請求もされません。

通常のケースであれば、家庭裁判所により相続放棄が受理されれば、一安心であると言えます。

しかしながら、家庭裁判所による相続放棄の受理決定は絶対的なものではなく、その後の裁判等でその効力が覆る可能性があるのです。

相続放棄受理の効力が覆るケース

家庭裁判所において相続放棄の申述が受理されたとしても、その後、「実は、相続放棄の要件を満たしていなかった」ということが分かれば、相続放棄の効力は認められません。

例えば、「相続放棄をする前に、実は、被相続人の財産を処分してしまっていた」といった場合、相続放棄の効力は認められないこととなります。

被相続人の財産(現金等)を使ってしまったり、売ってしまったりしたような場合、処分に当たります。相続財産たる不動産の名義を自分の名義に変えてしまったような場合も処分に当たります。

また、「相続放棄の後に、被相続人の財産を隠したり、使ってしまったりした」といったような場合も、相続放棄の効力は認められません。

また、相続放棄をするには期間制限があるところ、「実は、相続放棄をすることが出来る期間が過ぎていた、期間が過ぎた後に相続放棄をしていた」ことが判明した場合も、相続放棄の効力は認められないことになります。

なぜ、このようなことが起きるのか

家庭裁判所により相続放棄申述が受理されたにもかかわらず、その後に効力が覆るということがなぜ起こるのでしょうか。

その理由は、上記しましたとおり、「家庭裁判所による相続放棄の受理決定は絶対的なものではない」ということにあります。法的には、相続放棄の受理決定には「既判力(きはんりょく)がない」と言います。既判力がないため、その後、別の裁判でその効力を争うことが出来るのです。

そのことと関連し、相続放棄事件の実務としては、明らかに相続放棄を却下すべき理由が見当たらなければ、相続放棄を受理するとも言われております。これは、相続放棄の効力に疑義がある場合、後に、裁判で争うことが出来ることの裏返しであるとも言えます。

それでも、相続放棄の手続きは重要!

このように、相続放棄申述受理の効力は絶対的なものではありませんが、それでも、相続放棄の手続きは重要であると言えます。

相続放棄の手続きには期間制限がありますし、家庭裁判所に申立て(申述)をする必要がある等の決まりもあります。

制限期間内に、相続放棄の手続きをきちんととらなかった場合、後になって相続放棄の効力を主張することは出来ません。

したがって、やはり、相続放棄の手続きは重要であり、相続放棄をしたい場合、きちんと相続放棄の手続きをとるべきといえます。

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