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胎児にも相続の権利が?相続における胎児の位置づけ

はじめに

胎児に相続権があるという話を聞いたことがありますか?実は、日本の法律では胎児にも相続権が認められています。

本記事では、胎児がどのような状況で相続権を持つのか、その法的根拠や具体的なケース等について解説します。以下のポイントに注目して読み進めてください。

  • ●胎児の相続権とは?:胎児の相続権の概要
  • ●法的根拠:民法の規定:民法第886条
  • ●具体的な条件:胎児が相続権を持つための条件
  • ●具体的なケース・実務的な対応:遺言書の記載方法や相続手続き等について

 

胎児の相続権とは?

胎児に相続権があるということについて、驚かれる方もいるかもしれません。一般的に、相続権は、既に生まれている子どもにのみ認められると考えられがちですが、日本の法律では、胎児にも特別な保護が与えられています。

具体的には、胎児も相続の権利を持つ存在として認められているのです。この権利は民法に明確に規定されており、出生前であっても一定の条件下で相続人とみなされます。

法的根拠:民法第886条

 

日本の民法は胎児にも特別な保護を与えています。具体的には、民法第886条において胎児が相続人としての地位を持つことが明記されています。これにより、胎児は生まれる前から法的に相続権を持つ存在と認められます。

民法886条は、第1項において、「胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。」と規定しているのです。

胎児の相続権が認められる条件

先ほどのとおり、民法886条第1項において胎児の相続権を定めているのですが、同条第2項において、「前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。」と定められています。

即ち、胎児が生まれてくることが条件(出生の条件)となっており、死産の場合には相続権が発生しません。

なお、当然の前提として、「相続開始時に胎児であること」も必要な条件となります。

これらの条件を満たすことで、胎児は相続人としての権利を確保することができます。

具体的なケース・実務的な対応

胎児の相続権が実際にどのように扱われるのか、具体的なケースや実務的な対応方法を具体的にご紹介します。

まず、具体的なケースですが、胎児の相続権が問題となるのは、胎児が生まれる前の時点で被相続人が死亡した場合となります。

(胎児が生まれた後において被相続人が死亡した場合は、通常の相続の問題となります。)

実務的な対応としては、遺言書を作成するという方法が考えられます。

胎児が相続人になる可能性がある場合、遺言書において、「胎児」につき明記しておくことで、出生後の権利がスムーズに認められたり、紛争予防に役立ったりすることがあります。例えば、その胎児に対して、具体的に相続する割合を指定しておいたり、より具体的に、「この財産は(これから生まれてくる)胎児に相続させる。」と記載しておいたりすることが考えられます。胎児に関して遺言書の作成をする場合、専門家のアドバイスを受けた方が良いでしょう。

次に、実際の相続手続きについてですが、相続人に胎児が含まれる場合、出生までは相続手続き(遺産分割等)を一時停止することが一般的かと思います。これまで見てきました通り、胎児につきましては、生まれてくることが条件であり、死産の場合は相続権が認められません。胎児が生まれた後に正式に相続権が確定しますので、特別な事情等がない限り、生まれてくるのを待つのが無難なところとなります。なお、胎児がいる場合における相続は、より専門的な対応が必要であり、実際にどのように対応したらよいか、また、対応すべきかにつき、難しい場面もありますので、専門家に相談や依頼をするのが良いでしょう。

まとめ

胎児の相続権についての理解は、家族の将来を守るために非常に重要です。本記事で紹介した法的根拠等がご参考になればと思います。

また、相続に関する詳細な問題や具体的なケースについては、専門家の意見を聞くことが大切です。弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所では、胎児の相続権に関する疑問や相談に対応していますので、疑問や不安がある方は、弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所にご相談ください。

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