しっかり者の長女が、浪費癖のある父親の生活を管理するために信託を活用した事例
A子さんは、父親がせっかくの資産を浪費癖で食いつぶすのでは・・と心配し、必要なタイミングで必要な額を引き出せるようにしたいと考えていました。
登場人物
長女A子さん、長男家族、高齢の父親(被相続人)
相談内容
A子さんの父親は、長年連れ添った妻(A子さんの母)に先立たれた後、長男家族と同居をしています。ところが、父親が妻を亡くした寂しさなどから、浪費を重ねていることが発覚、、長男家族と仲たがいをしたままの状態となっていました。加えて、長男家族もたびたび生活費などを父親に無心していたため、このままでは父親の浪費と長男家族からの無心で、今ある資産を食いつぶして、今後の生活費すら心配になってしまうのではないかと、信託の利用を検討していました。
当事務所の対応
将来の医療費・介護費用が捻出できるようにと父親を委託者兼受益者、A子さんを受託者とする信託契約を作成し、金融機関で信託口口座を作って管理することにしました。一方で、仲たがいをしている長男家族との同居を解消、元気なうちは自由に暮らしてもらおうと、父親にアパートを購入。今後はそのアパートも信託財産として追加し、受託者の下で管理するようにしました。
ポイント
信託自体は、父親の浪費と長男夫婦からの生活費の無心を防ぐ目的で設定。長男家族とは仲たがいが続いていたことから、信託終了後の帰属権利者は長女としました。その後、将来的にトラブルの元となりそうな遺留分侵害額請求についても勘案し、遺留分対策として遺言も作成しました。