一人っ子の相続で気をつけるべきこと|メリット・デメリット
一人っ子の場合、他の相続人との争いが発生しにくいことから、「相続は簡単」と考えがちです。それはあながち間違ってはいないとも言えるものの、実際には注意すべき問題がいくつか存在します。本記事では、一人っ子の相続で気を付けるべきポイントを、法律を中心に解説します。
一人っ子と兄弟がいる場合の相続の違い
一人っ子の相続と兄弟姉妹がいる相続については、基本的な手続に大きな違いはありません。
兄弟姉妹がいる場合、遺産分割協議を行う必要があるため、意見が対立して話し合いがスムーズに進まないことがありますが、一人っ子の場合は、協議の必要がなく、自分一人で意思決定ができるため、相続手続を円滑に進めやすいという意味では比較的簡単と言えるかもしれません。
一人っ子の相続の特徴
⑴ メリット
一人っ子は相続する際、兄弟姉妹との争いがないため、トラブルに発展する可能性が低くなります。他の相続人と協議する必要もないため、相続手続きを自分のペースで進めることができます。
例えば、父親が亡くなり母親と一人っ子が相続人となるという場合には、相続人が2人だけなので遺産分割協議がまとまりやすくなります。その後、母親が亡くなった際には、一人っ子だけが相続人となるため、協議の必要はなく、手続きも迅速に進められます。預金などの金融資産の口座解約や不動産などの財産の名義変更もスムーズに行えます。
⑵ デメリット
一人っ子の場合、相続財産の調査や解約等の手続きは一人で対応する必要があります。兄弟がいる場合は、他の兄弟に一部ないし全部の手続きを任せたり、手伝ってもらったりすることができる場合もあるかもしれませんが、一人っ子の場合はそのようなサポートは見込めないので、負担は大きくなるかもしれません(もっとも、兄弟がいても、非協力的な場合もありますので、これはケース・バイ・ケースであるとも言えます)。
また、一人っ子の場合は兄弟と揉める可能性というのはありませんが、親と揉める可能性はゼロではありません。親と意見が割れてしまった場合には、他に間を取り持ってくれる関係者もいないことから、折り合いをつけることが難しい場合もあるかもしれません。
さらに、法定相続人の数が少ないときには相続税の計算における基礎控除の額が少なくなりますので、相続税の負担は比較的大きくなると言えます。その点は兄弟がいる場合に比べて不利になっていると言えるかもしれません。
一人っ子が相続手続を行う場合の流れ
兄弟がいる場合と大きく変わりはありませんが、大まかには次のような流れになります。
⑴ 遺言書の有無の確認
遺言書が存在する場合、法定相続人以外の人物に財産が遺贈されているといった可能性もあります。したがって、遺言書が存在するか、その内容がどのような内容になっているかを確認する必要があります。
⑵ 相続人の調査
自分が一人っ子であると認識していたとしても、実は、親に離婚歴があり異母兄弟、異父兄弟がいるという可能性もあります。一人っ子であるという認識に誤りがないことの裏付けを取るためにも、戸籍謄本を取得する必要があります。
⑶ 相続財産の調査、相続税申告
相続財産の内容・評価額によって、相続税申告・納税の必要が生じます。現預金や不動産、株式・保険等の金融資産、負債、葬儀費用などの内容を正確に把握し、相続税申告の要否の判断や納税を行う必要があります。
⑷ 相続財産の解約、名義変更等
金融資産や不動産などを自分の名義に移すため、預金解約や不動産の相続登記などの手続を行う必要があります。
一人っ子特有のリスクと対策
一人っ子の場合は、前述の通り、相続人の数が少ないことから、基礎控除額が低くなることで、相続税の金額が高くなる可能性が高いですし、いわゆる二次相続の相続税が思いのほか高くなってしまうということが生じる可能性もあります。二次相続の負担が大きくならないように、一次相続の際の遺産分割の内容を調整するなどの対策を考えておく必要があります。
相続税に関しては、税理士に相談して試算をしつつ、場合によっては、生前贈与などを用いて節税を図るといったことも検討する必要があるかもしれません。
まとめ
一人っ子の相続は、他の相続人との争いが少ない分、スムーズに進められる可能性が高い反面、財産管理や法的手続が一人に集中するなど特有の問題が生じることがあります。二次相続も含めて考えると相続税負担が重くなる可能性もあり、円滑な相続を実現するには、適切な相続計画を立て、専門家のアドバイスを受けながら進める必要があると言えます。
そのためにも、親が元気なうちから、財産の状況や相続計画について話し合い、遺言書の作成を含めた準備を進めておくことが重要です。
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