遺産分割を放置した場合に考えられるトラブルとは
遺産分割が進まない原因には、遺産分割協議をしたものの意見がまとまらない場合だけでなく、亡くなった方がどのような財産を有していたのか分からない、他の相続人の居場所がわからず連絡を取ることができない、未成年者や認知症の相続人がいる、2次相続が発生していて手をつけられない等、様々な理由があります。
遺産分割は、いつまでにやらなければならないという期限はありません。
しかし、遺産分割が進まない結果、放置することで生じるトラブルやデメリットはたくさんあります。この記事では遺産分割を放置した場合に起こりうるトラブルについて渡辺弁護士が解説いたします。
資料が散逸・消滅することにより立証が困難になる可能性
時間が経つことで相続財産の所在が分からなくなる可能性があることはもちろん、資料の収集が困難になり、当時の記憶も薄れていくため、特別受益や寄与分の立証は困難になります。
相続人に判断能力を失う方が出てくる
相続人の年齢によっては、数年で急激に認知症が進み、判断能力を失ってしまう可能性があります。その場合、遺産分割協議を成立させることは事実上困難となり、その方が亡くなるのを待たなくてはならない場合がほとんどとなります。そうなると、遺産分割ができていない相続財産を誰がどのように管理するのかについて、トラブルが生じる可能性もあります。
次の相続が生じる可能性
遺産分割が進まないうちに相続人が亡くなり、さらに相続が発生する可能性があります。
そうすると、相続人が増えて関係が非常に複雑化し、また、面識がない・連絡先が分からない相続人が出てくる可能性もあり、手続きがさらに難しくなります。
銀行から預金の払い戻しを受けられなくなる可能性
被相続人の預金口座は、金融機関に亡くなったことが確認されると凍結され、預金の引き出しができなくなります。
預金の払い戻しを受けるためには、被相続人の遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割の合意を成立させる必要があります。つまり、遺産分割が終わるまでは、預金全額の払い戻しはできません(民法により、遺産分割前でも預金の一部に限り払い戻しが認められています)。
そのまま放置された場合、預金債権は10年、場合によっては5年で時効消滅する可能性があります(実際には10年以上経っても、必要書類が揃えば支払いに応じてくれる場合がほとんどです)。
不動産がある場合、相続人の共有名義になるため、税金や管理の負担が生じ、売却や賃貸が困難になる可能性
不動産には毎年、固定資産税等の税金がかかり、管理の負担も生じます。不動産が原因で第三者に損害を与えた場合は、その賠償責任も負わなければなりません。不動産の売却や賃貸をするにも、相続人全員の同意が必要です。そのまま放置しておくことで、相続人にさらに相続が生じると、面識がない・連絡方法法がわからない相続人が増えていき、より複雑な状態になって、さらに手が付けられなくなってしまいます。
相続税申告時に、配偶者控除等の税控除の特例が使えない
相続税申告の際に、配偶者控除や小規模宅地の特例等、一定の特例を適用することで相続税を減額できますが、この特例は誰がどの財産を相続するのかが決まっていなければ適用できません。
遺産分割協議が成立していない段階で相続税の申告をする場合は、ひとまず法定相続分で相続したものと仮定して計算した金額を一括納付する必要があるため、一時的に税金を多く負担する相続人が出てくる可能性があり、また、遺産分割後の税金の負担割合の調整でもトラブルが生じる可能性があります。
遺産分割を放置することによるデメリットは非常に大きいため、遺産分割は相続が発生したら必ず行いましょう。
遺産分割が絡んだ相続は専門家にご相談を
遺産分割を進められない理由がある場合や、何から手をつけてよいのかわからない場合は、専門家に相談して適切に解決できるようにしましょう。
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