住宅ローンが残っている抵当権付き不動産を相続する場合の注意点

不動産を相続するとなると問題となってくるのが、住宅ローンが残っているか、もしくはローンが完済されているかどうかです。相続発生時に住宅ローンの残高があるとすんなりと相続はできないようですので注意が必要です。今回は住宅ローンが残っている家の相続、難しく言うと抵当権付き不動産の相続について渡辺弁護士か解説いたします。

抵当権とは

抵当権は、代表的な担保権のひとつです。

例えば、住宅を購入する際、多くの方は金融機関で住宅ローンを組みます。その際、金融機関は、住宅に抵当権を設定し、債務者である住宅購入者が住宅ローンを返済できなくなった場合に、その住宅を強制的に売却して、売却代金から債務を回収できるようにします。このように、抵当権は、不動産購入の際に広く利用されています。

抵当権付き不動産を相続するには

相続は、抵当権の債務者としての義務や借金も対象になります。そのため、抵当権付き不動産を相続したら、まず、抵当権の具体的内容を確認する必要があります。抵当権の有無やその内容は、不動産の登記簿謄本を取得して確認しますが、抵当権が抹消されていない場合は、相続開始時点の債務額を確認するために、記載されている金融機関に問い合わせます。

その結果、抵当権付き不動産の時価が住宅ローン残高を上回る場合は、その不動産を売却し、残ローンを返済することも選択肢の一つになります。

住宅ローン残高が不動産の時価や他のプラスの相続財産を上回っている場合には、相続放棄を検討します。相続放棄をする場合は、被相続人が亡くなってから3か月以内に家庭裁判所で手続きをする必要があり、被相続人が亡くなって様々な手続きをする必要がある中で非常に短い期間に限定されているため、速やかな確認・検討が必要です。

抵当権付き不動産の売却も相続放棄もしない場合は、相続人が法定相続分に従って債務を承継し、返済することになります。もっとも、権利関係を分かりやすくするために、抵当権付き不動産を相続人の一人が相続し、その相続人一人が債務を承継することとする遺産分割協議をすることもあります。

このような法定相続分によらない債務の承継については、債権者である金融機関の承諾が必要ですので、相続人間で合意する前に、債権者へ相談しましょう。そのうえで、遺産分割協議書には、だれが抵当権付き不動産を相続し、だれが債務を相続するのかについて、明記しましょう。

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