Columnコラム

相続人に未成年者がいる場合の遺産分割  

2022年4月から、民法上の成人年齢が18歳に引き下げられました。これにより、18歳、19歳の人が一人でできることは大きく広がりました。このように、未成年者は成年者よりも保護の必要性があることから、単独でできることが大きく制限されています。そのため、相続人に未成年者がいる場合、通常の場合とは異なる遺産分割手続が必要となるのです。

例えば、この長女は未成年です。この場合、どうなるでしょうか。

 

未成年者の法律行為には「法定代理人」が必要

まずは、未成年者に関する民法の条文を見てみましょう。

民法第5条

1.未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

2.前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

このように、未成年者が有効に契約などの法律行為をするためには、「法定代理人」の同意が必要になります。そしてその同意がない場合には、未成年者の法律行為を取り消すことができるのです。

そして、相続も法律行為ですから、遺産分割協議に参加するためには法定代理人が必要となり、通常、その法定代理人は親権者すなわち親となります(民法824条)。

未成年者を含めた遺産分割には「特別代理人」が必要になることも…

以上を踏まえれば、「親が法定代理人なのだから、このまま遺産分割協議をすればよい!」となりそうなのですが……、遺産分割協議の場合、それのみでは有効な手続とはならないことがあるのです。

民法第826条

  • 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

このように、「親権者と子の利益相反行為(=子が不利益を被ることで、親権者が利益を得るような行為)」については、「特別代理人」の選任が必要になります。

相続においては、未成年者とともにその親も相続人となっている場合が多いかと思います。その場合には、子(未成年者)の貰い受ける遺産を少なくすることで、親権者の相続する財産が多くなるという関係にあります。これはまさに、親権者と子との利益が相反する場合ですから、「特別代理人」の選任が必要となります。

また、親権者が相続人となっていない場合でも、その親権に服する未成年の子が複数いる場合にも、「特別代理人」の選任が必要となります(民法826条2項)。

「特別代理人」に特殊な資格は必要ない

「特別代理人」と聞くと、何やらお堅い資格が必要と感じる方もいるかもしれませんが、特殊な資格は必要なく、相続の当事者でなければ基本的に誰でもなることができます。

次で説明する申立てをすると、家庭裁判所は、特別代理人候補者と未成年者との利害関係などをチェックし、適格であると判断すれば、その候補者が特別代理人として選任されることとなります。

「特別代理人」を選任するには

「特別代理人」の選任をするには、子の住所地を担当する家庭裁判所に対し、特別代理人選任の申立てが必要です。遺産分割の場合、通常必要となる書類や費用は以下のとおりです。

  • 申立てに必要な書類

・特別代理人選任申立書

【書式や記入例については、裁判所ホームページに記載があります】(https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_11/index.html

・未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)

・親権者(または未成年後見人)の戸籍謄本

・特別代理人候補者の住民票又は戸籍の附票

・遺産分割協議書案

  • 申立てに必要な費用

・収入印紙800円分(子1人につき。申立書に貼付します。)

・連絡用の郵便切手(金額は申立てをする家庭裁判所で確認できます。)

 

 まとめ

以上のように、相続人に未成年者がいる場合に、遺産分割協議を進めるには、特別代理人の選任が必要です。特別代理人の選任には、特別な資格制限はありませんが、身近に思い当たる人がいない場合には、弁護士に依頼することももちろんできます。

お悩みの際には、一度弁護士にご相談ください。

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