収益不動産の相続トラブルー遺産に賃貸アパートがあったら?ー

収益不動産とは

相続人間で遺産の分け方に争いが生じるケースには、「不動産」が関係していることが多くあります。

遺産である不動産を誰が相続するのか、不動産の価格をどのように評価するのかなどをめぐって相続人間で対立が生じます。特に賃貸マンションや賃貸アパートなどの毎月一定の賃金収入が生じる不動産(収益不動産)があるケースでは、取得を希望する相続人が多く、相続人間でその適正時価の評価方法を巡って争いが生じる事例が散見されます。

 

相続財産の中に収益不動産があった場合の注意点

収益不動産の相続においては、複数の法的トラブル(不動産の評価額、賃料収入の分配や管理方法など)が同時に発生することがあるため、同時並行でこれらに対処していく必要があります。

 

まずは不動産の評価調査からはじめましょう

まずは、収益不動産の評価額について調査をすることが必要です。

収益不動産の場合、居住用不動産と異なり、評価額は収益価格(収益利回り)をベースに算定されることも多くあります。評価額算定の前提として、賃貸条件や管理状況などをしっかりと把握する必要があります。特に、これまで管理に全く関与していなかった相続人は、現実に管理している相続人に対し、資料や報告を求めるなどして、しっかり情報収集しなければなりません。

 

不動産の借入れが残っている場合

収益不動産に関して、金融機関からの借入れが残っている場合には、口座凍結により返済が滞っていないか、返済額と収益が見合っているかなども検討する必要があります。

 

収益不動産をめぐる相談事例

◇相続開始前後の賃料の扱いと管理方法

収益不動産の場合、相続開始から遺産分割までに相当時間を要することも少なくありません。そのため、相続開始前後に発生した賃料の扱いが問題になることがあります。相続開始までに発生していた賃料は、各共同相続人に相続分に応じて承継されます。

一方、相続開始後、遺産分割までに発生した賃料については、裁判所は、①遺産分割までの間に遺産である不動産を使用管理した結果生じる賃料は遺産とは別個の財産である、②この賃料は遺産分割を経なくとも各共同相続人がその相続分に応じて確定的に取得する、③各相続人が確定的に取得した賃料は、後に遺産分割によって当該賃貸不動産の帰属が決定しても影響を受けないと判断しました(最高裁平成17年9月8日判決)。つまり、相続開始後遺産分割までに発生した賃料については、各共同相続人は自らの相続分に応じて賃料を取得することとなります。

ただし、賃料が振り込まれている金融機関が相続開始の事実を把握した場合、被相続人の口座が凍結され、入出金ができなくなることがあります。この場合でも賃料は継続的に発生しますから、賃料の振込口座をどうするのか、誰が管理するのかなどが問題になります。解決方法として、専用の管理口座を新たに開設し、相続人の一人が勝手に払い戻しを受けられないように通帳と印鑑を別々に保管し、遺産分割成立前に清算することなどが考えられますが、紛争当事者同士でこのような話し合いをすることは困難を伴うことがありますので、弁護士など第三者を介して方法を協議する方がスムーズにいくケースが多いと思われます。

◇収益不動産の評価(時価)と相続税申告評価の相違

収益不動産が相続財産に含まれている場合、相続財産の評価額も大きくなり、相続税の申告が必要になることが多くあります。

相続税申告における評価額は、土地については公示地価の概ね8割をめどに設定される路線価を基礎として算定されます。さらに、不動産の評価を減額する特例(小規模宅地等の特例など)が数多く存在していますので、もともと路線価をベースに算定された評価額がさらに減額されることがあります。そのため、相続税申告における不動産の評価と、現実の時価とは乖離していることが多く、評価を巡って相続人間で意見が分かれることがあります。

お悩みになられましたら、一度専門家にご相談されることをお勧めします。

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